星野道夫『旅をする木』文春文庫
私が「ここ」で、せわしない暮らしをする「今」も、電車に3時間ほどの距離を離して山があり、森があり、海がある。大海原ではクジラがおひるねしているかもしれない。海を越えれば、昼と夜がさかさまになった世界があり、砂漠の国では銃を構える人がいるのかもしれない。だから、「今」「ここ」にあることが、世界中のすべてだなんて思わない。